高山賞 of 人間都市研究所

まちづくり都市計画・人間都市研究所

都市再開発高山賞


再開発コーディネーター協会は、初代会長であり都市計画界の先駆者である高山英華氏(1910-1999)の名を冠した賞を1991(平成3)年に創設し、毎年業績のあった再開発コーディネーターにこれを授与している。

1.都市再開発法

 都市再開発に関係のある法律を、対象の広い順に3つだけ並べると、国土利用計画法-都市計画法-都市再開発法という順になる。相対的に前者を一般法、後者を特別法と呼ぶ。すなわち、都市計画法は国土利用計画法に対しては特別法だが、都市再開発法に対しては一般法ということになる。都市再開発法は、河川法、道路法、都市公園法などと並び、都市計画法に対する特別法である。

 1969年制定の都市再開発法は、権利変換等に関して細かな規定を設けた事業法としての性格が強い。私が再開発の仕事に就いた1975年において、同法に基づく事業完了地区は、後述の山鹿市を含み全国で4地区にすぎなかったが、35年を経た現在783地区にのぼる(2011 3.31現在/再開発コーディネーター7月15日号47頁)。

2.民間プランナー

 都市計画は役所の仕事だと思われがちだが、実際は「民間プランナー」と呼ばれる多くの人たちが都市計画コンサルタント事務所等で仕事に就いている。民間組織のほうが専門的な技術を蓄積しやすい面がある、独創的な事業手法に挑戦しやすい、市民に寄り沿いながら取り組みやすい・・・等の利点があるからだ。そのような民間プランナーの仕事の分野は、交通、上下水道、都市デザイン、防災、都市再開発・・・と幅広い。

3.再開発コーディネーター

 前例のない事業や仕事のことを『プロジェクト』と呼ぶが、プロジェクトを推進するにはコンサルタント(調査し判断材料を示す人)、プランナー(計画を立案する人)、コーディネーター(諸作業の連携を図り事業を推進する人)の三者が力を合わせることを必要とする。

 再開発事業は、連続する複雑な作業アイテムの統合を要求するという点で他のプロジェクトと共通するが、一定の土地の範囲の中にたまたま居合わせた(通常は)様々な価値観を持つ「地権者」の合意形成を図りながら事業を進めることが要求されるという点が他のプロジェクトにはない固有のフィールドである。そのため、作業従事者や関係機関のみならず地権者の合意形成を担う『再開発コーディネーター』が不可欠となる。

4.受賞の対象となった山鹿市の再開発

 受賞対象となった山鹿市の再開発事業は、1975年に竣工した延べ床面積23,000m2の再開発ビルのうち設備が老朽化した市民会館と温泉プール、店舗等約10,000m2を解体して残りの商業施設をリニューアルする、という減築型再開発である。都市再開発法を適用して整備された再開発ビルをもう一度リニューアルするという事業は全国的にはすでに数例あるが、ディベロッパーによる全面買収によらず、地権者の合意に基づく正攻法の再開発に取り組んだ例としては全国初の事業である。

 今回の取組みを開始した2006年時点では、組合が管理する全床の56%にあたる10,940m2の区画が空床・休眠状態であった。また、再開発ビルの所有形態は、建物の区分所有者85人で土地を共有する、1筆1棟(いっぴついっとう)という形であった。これを、リニューアル後に、3筆(さんぴつ)、2棟(にとう)にすることがこの事業に課せられたミッション(使命)であった。建物を解体して空地となった市単独所有の土地には明治の伝統的温泉施設が復活整備される予定である(2012年秋竣工予定)。

 2010年3月に商業施設のリニューアルが竣工し権利調整(3筆2棟の登記)は完了したが、この事業により44人の地権者は、後継者がいない等の理由で転出された。暮らしにぎわい再生事業(国交省)と戦略補助金(経産省)という国の支援制度は導入できたものの、残留者の改修負担金で事業を成立させるという、地元主導の、多くの困難を伴う事業であった。

(大学同窓会会報に寄稿)

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手前の5階建ては解体

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